鹿児島県NPO事業推進連絡会 鹿児島市大会


サロンミーティング「新しいスポーツのかたち」

 コーディネーター
  太田敬介氏(NPO法人SCC 理事長)
 パネリスト
  今園貴史氏(NPO法人かごしまブロンコス 理事)
  山下浩美氏(元Vリーグ女子選手)
  太田隆一氏(ヴォルカ鹿児島ゼネラルマネージャー)
  鈴木章介氏(NPO法人SCC理事)
 ゲスト
  山崎洋一氏(鹿児島県教育庁保健体育課 生涯スポーツ係長)

太田敬「 まずは山崎先生に、この4名の事例発表をお聞ききになられた感想と、今後、この鹿児島県のスポーツ環境はどういった方向へと進んでいくのかといったことについてお話を頂きたい。」

山崎「 SCCは単一種目で多世代のクラブ。今までの日本に存在してきたのはクラブではなくチーム。チームは同じような年代が集まってスポーツをやる。まさしく新しい形の第一号。今後に期待したい。ブロンコスは、ニュージーランドにいた頃の経験から、地域とともに歩いていくスポーツというものを作りあげようとしている。山下さんは、鹿屋と中種子の総合型地域スポーツクラブのアドバイザーをされている。自身がバレーボ−ル選手として活躍してきた技術を指導者として還元しようとしている。ヴォルカ鹿児島はサッカーという単一種目の中で青少年育成をしようとしている。この4つを束ねたようなものが、いわゆる文科省がすすめる「総合型地域スポーツクラブ」の構想なのかなと感じた。スポーツ振興基本法というのがある。その中身は大きく3つの柱がある。総合型地域スポーツクラブを作りましょうということ、オリンピックで金メダルをとれるような選手を作りましょうということ、地域と学校が連携した社会体育を作りましょうということ。その中でも我々と一番関係があるのは総合型地域スポーツクラブを作りましょうということ。鹿児島で、この総合型地域スポーツクラブは生まれてくるのだろうかと思っていたが、「すこやかスポーツ100日運動」というキャッチフレーズを作り、身近な地域社会に、多種目、多世代、指導者はボランティア、会費制の「コミュニティスポーツクラブ」というものを各市町村に立ち上げようと努力しているところ。現在6つが立ち上がっている。」

太田敬「私の方から5名に2つの質問をさせていただく。まず1つ目。こういったスポーツ団体が法人格を持つ意味。それについてどう思うか。」

今園「教室運営をする上で保険をかけないといけなかったということ。施設使用の際に個人より団体名のほうが借りやすいということ。また他県では、スポーツNPOが公共施設の管理運営をしているところがあると聞いた。我々もそれを目指したい。よって法人格を取得した。」

太田敬「スポーツNPOが公共施設の管理運営委託を受けるということはとても大きなテーマ。」

山下「スポーツ教室や子供達とのキャンプをやっているが、個人名で活動するより、団体名で活動する方が、やりやすいし、信用もある。人集めの上でも有利だと思う。ビーチバレーのチームがNPO法人を作って奉仕活動をすることで、収入を得るという例も出てきている。」

太田敬「選手がNPO法人に所属をしてそこで収入を得ているということ?」

山下「はい。」

太田隆「信用を得るという点で、まずは会計を明瞭にするということ。法人名で口座を作ることで企業からのスポンサーを受け入れやすくするということ。」

鈴木「スポーツ活動上怪我はどうしても避けて通れない。その際の責任の在り処を明瞭にするということと、世間の信用を得やすいということで法人格を取得した。取得して1年半になるが、デメリットとしては事務作業がとても大変。また大きなメリットとして、totoの助成金を受けることができた。」

山崎「法人格を取得すること事体が大きなイメージアップにつながる。助成金の交付対象となる。世間からの信用が大きく上がる。」

太田敬「もう1つの質問。今日は4名に活動事例発表をしていただいたが、皆さん、活動は大変素晴らしい。プロのコーチとしてのフィールドワークは大変素晴らしい。がしかし、この活動を今後継続していくためにはなんといっても「お金」だ。こういったスポーツ団体が今後どうやって財源を確保していけばいいのか。具体的なお話をお聞かせいただきたい。」

今園「まずは、会費収入を確保したい。なるべく低い金額で、多くの人に入会頂きたい。またプレーができなくても賛助会員という形で携われるようにしたい。助成金に関しても積極的にアプローチをしたい。寄附も期待している。」

山下「今まで日本のスポーツを支えてきたのは、企業であったり、学校であったわけだが、どんどん休部、廃部になったり、選手が切られたりしている。人間の生活というものは必要なものだけが残り、必要のないものはなくなっていく。スポーツがこの社会の中で必要なものだという存在価値を示さなければいけないし、提供していくことが我々に求められていること。それは受益者負担という考えにつながるわけだが、その辺りの1人1人の底上げをするということが大切。」

太田敬「企業スポーツうんぬんという話になると、それだけで僕と山下さんは長いこと語りあってしまいそう(笑)。受益者負担という言葉が出てきたが、自分の好きなことをやるのに、自分でお金を出すというのは極当たり前の考え方。だが、スポーツ界ではそういう考え方が根付いていない。自分の好きなスポーツをやるためには、自分でお金を出してやると。それをどうやって世間に認知させるかということ。」

太田隆「賛助会員を含めた会費、スポンサー契約、totoを含めた助成金、スポーツ振興、青少年育成やマネジメントなどの事業をやっていきたい。」

太田敬「マネジメントによる収益というところ。つまり、NPO法人とヴォルカ鹿児島の関係というところが皆さんもう1つイメージが掴みにくいのではないかと思うが。」

太田隆「JFLにあがっていくためには、別組織をNPOとして立ち上げて、運営をそこに委託するという形のほうがベターだということ。ヴォルカ鹿児島とそのNPO組織は全く別ものであって、将来的には違った方向へと進むことも考えられる。」

太田敬「サッカークラブの運営母体といえば、株式会社とか社団法人とかが多いような気がするが、どこか他でNPO法人が運営母体となっているところはあるのか?」

太田隆「JFLの鳥取SCの運営をやまなみスポーツクラブが、J2の湘南ベルマーレの運営を湘南スポーツクラブがやっている。2チームモデルがあるので参考にしている。」

鈴木「会費収入を基本として、助成金、委託事業を考えていきたい。助成金、委託事業というものは単発的なものだが、会費収入は、突然途切れてしまうということはないものだから。会費収入を上げていくという基本線は外せない。」

太田敬「現時点で140名という会員がいて、そこそこの会費収入があるわけだが、どうだろう。会費収入が大事というのも分かるが、運営は今後大変にならないか?」

鈴木「140名いるといっても、1度の練習に出てくるのはそのうち60名とか70名だから、現時点では大丈夫。いずれは分けていくということもあるかもしれない。」

山崎「確かにスポーツに対してお金を払うという感覚は日本では少ない。ドイツに行ったときにクラブ運営の秘訣を聞いた。2つあると言われた。それは会費とボランティア。会費というのは受益者負担であるということ。ボランティアということは、会員が自分のクラブに対して何ができるかということを考えるということ。例えば60歳を過ぎてスポーツができなくなったとしても、料理ができるから、ボランティアでクラブハウスで料理を作るとか。そういったこと。また、助成金を徹底的に調べる。totoや笹川スポーツ財団の助成はもちろんのこと、スポーツ分野だけではない、いろいろな分野で様々な助成制度がある。保健福祉関係なんかは、スポーツにより大きな効果を発揮している。また、イベントで儲ける。営業活動をする。待っててもだめ。打って出る。協賛してくださるところには徹底して脚を運ぶ。他にも努力のしようがたくさんある。」

太田敬「聞いた話だが、ヨーロッパのサッカークラブのスポンサーが居酒屋だという例もあるそうだ。スポンサーについてもらう変わりに必ずその居酒屋でクラブの飲み会をやると。スポーツと企業のそういう関係も面白い。」

太田敬「それでは会場からも意見、質問を受けたいと思います。」

会場A「山崎先生に質問。中山の運動施設の建設凍結はその後どうなっているのか。またNPOへの公共施設の使用開放などはどう考えているのか。」

山崎「中山の件は担当ではないので分からない。いい加減なことは言えないので申し訳ない。学校施設については、各学校に担当者がいるので、問い合わせてみるといいと思う。施設はどこもいつも予約でいっぱいだという話をあちらこちらで聞くが、一昨年調査したところ、利用率は51%だった。ということは半分は空いているということ。もっと調べてみると、もっと使える施設があるはずだ。」

会場B「全員に質問。スポーツとは何かと聞かれたら何と答える?」

今園「楽しみながら人間形成ができるもの。高校生の育成などを通してそう感じている。」

山下「一言で言うと教育の場ではないかと思う。人間形成、人とのつながり、生命に関わることまで幅広く学べる。」

太田隆「私の場合、サッカーとは何かと聞かれれば、全てとしかいいようがない。スポーツという大きな枠で考えるとコミュニケーションツールだと思う。」

鈴木「僕個人としてはやはり陸上競技は全てだと言うしかない。教育という面も確かにあるが、ずるいこともたくさんできる。ドーピングの問題も然り。ルールの範囲内で自分を磨いていくもの。これがスポーツだと思う。」

山崎「5つある。健康作り。体力作り。仲間作り。人間作り。最後にこれが一番大切。夢作り。」

会場B「私はスポーツは文化だと思う。」

太田敬「文化とは何だろう?」

会場B「人の心を豊かにするもの。走る姿、芝生の上でラグビーをする姿、背の高い女性がバレーをする姿、サッカー選手のドリブル、どれも言葉を超え、美しく、感動させるものだ。」

太田敬「僕はスポーツとは何?と聞かれても答えがでない。企業運動部に所属していて、休部になったとき、君達はこの会社の中で一番最初に切り捨てられる人材なのだと言われた。それが悔しくて、そんなことはない、自分のやってきたこのスポーツは絶対にこの社会で必要なものなのだという問いかけを続けながらここまでやってきた。これからもそれを追い求めていく。」

会場C「山崎先生に質問。私は、小さい子達にいろいろな種目を経験させる機会を作りたいので、多種目のクラブがいいと思うが。」

山崎「もちろん、私達が進めている「コミュニティスポーツクラブ」は多世代、多種目。中でも、スポーツ少年団や部活動に入っていない子供達にどうにかスポーツの楽しさを伝えていきたい。だからあなたの考え方は素晴らしいと思う。」

会場D「質問は3つ。SCCの協賛法人会員が0社とあるがこれは何故か。働きかけた結果か、働きかけていないのか。山崎先生に質問。公共施設の受託事業で果たしてどれくらいの収益があがるのか。山下さんに質問。スポーツ環境の整備という話があったが、この辺りのことをもう一度説明をお願いしたい。」

鈴木「その辺りのことは太田敬介のほうが詳しいのでお願いします。」

太田敬「法人スポンサーに関しては、自分の出発点が出発点なだけに、うかつに近づけないという面も確かにあるが、個人も法人も基本的には何も変わらないので、その考えも変えないといけない。が、現在のところは何もやっていない。」

山崎「現時点でも市町村の体育施設をスポーツクラブが管理しているという例が全国でもいくつかある。今から先そういったことは増えてくるだろう。というのも、例えば小学校の施設管理については、管理指導委員、学校の開放運営委員会に市町村が委託をしているという形になっている。これをスポーツクラブがという形もじゅうぶんあり得る。ただし、条例改正が必要なので時間はまだかかるだろう。」

山下「トップチームを持つことで、地域の皆さんに応援してもらうということは、地域の中から選抜で子供を育てていくというのが日本でもできる形ではないかと思う。しかし、所属チームの枠を超えて大会に出場することができない。個人の力をあげていくために、スキルアップするための練習をしようということで個人に対して募集をかけたが、実際はできなかった。チームのクラブ運営で大切なのは、指導者の充実。指導者の指導をするシステムができれば良い。」

会場E「パネリストの4人に質問。会員を増やすために、またクラブ運営の中で工夫していることはあるか?」

今園「ラグビーという言葉を使うと、どこの小学校でも危険だということで拒否反応を示されるのでフッティという言葉をつかっている。また、ブロンコスを中心として指導者をいろんな学校に派遣するということを今後考えている。」

山下「一番大切なのはコーチングスタッフの育成。熱い指導者をどれだけ確保できるか。」

太田隆「Tシャツ販売をやっているが、それは活動資金の確保とともに、重要な広報活動にもなっている。またファンサービス、各種イベント時のエキシビジョンマッチやサイン会。今後は試合直後にサッカースクールをやったりということも考えている。先ほど出た指導者派遣も考えている。指導者育成も考えている。100人のレベルの高い子供を育成することよりも、10人のレベルの高い指導者を育成することのほうが効率がよい。」

鈴木「SCCは多世代だが、スイミングスクールのようなコースをたくさん設けているということではない。多世代が同じ時間、同じフィールドで練習をするということ。その中に隠し味みたいなものがある。子供が先に入会し、その後に親御さんも楽しそうだということで入会したり、その逆もあったりする。」

会場F「怪我をしたスポーツ選手に対する精神的なケアなどは考えていないのか?」

太田敬「それこそがコーチングということ。勝った選手だけでなく、怪我した選手、負けた選手、個々のみんなに声をかけてあげる。これこそがまさにコーチングだと思う。」

太田敬「それでは、時間がないので、端的に締めたいと思う。個々の活動内容は違っても、大枠でとらえると、みんなの言っていることはほぼ一緒。これからはこういった点と点を結びつけるネットワークが大切なのではないかと思う。今日はその決起集会。2回目、3回目もやっていこう。これからも1人でもたくさんの人にスポーツの素晴らしさを伝えるために、力を合わせて頑張っていきましょう。」

 <<BACK