鹿児島県NPO事業推進連絡会 鹿児島市大会


演題「多世代型陸上競技クラブチームSCC」

          太田敬介 (NPO法人SCC理事長)  

 僕はとある企業の陸上部にいた。2000年の3月にその陸上部がなくなって、非常に大きな喪失感を味わった。今までスポーツ一筋で生きてきたが、自分のやってきたことは何だったのだろうかと考えた。スポーツとは何か、日本のスポーツシステムはどうなっているのか、そんな大きな思いを自分の中で抱えるようになった。

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 日本のスポーツシステムは、学校体育を中心に教育としてのスポーツが底辺になっている。一般の人は教育期間が終るとスポーツをする場がない。一部のトップ選手を集めて、実業団や企業が、広告塔としてスポーツの受け皿になっていた。

 ところが今日本のスポーツシステムはどうだろうか? 子どもたちの体力は低下している。部活動をやりたがらない子どもが増えている。大人たちも運動不足で、生活習慣病が増えている。企業スポーツは不況の影響で元気をなくしている。それを自らの経験で大きく感じた。

 これからのスポーツはどうあるべきか。子どもから大人まで、スポーツをやりたいと思った人間が、だれでもできる環境を底辺にしなければならない。だれもが楽しめるスポーツ環境の中から、トップレベル選手が育つ。学校や企業は、そういったスポーツを支援する。そんなスポーツ環境を目指してSCCを作った。

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 最初にSCCを設立すると公言したのが00年の6月。こういうクラブが世間に受け入れられるのか、会員は集まるのか、全く未知数だった。最初3人でスタートし、月4、5人のペースで増えて、現在約140人の会員がいる。

 活動の中心となっているのは、毎週水、金、土曜日に鴨池陸上競技場でやっている陸上トレーニング。子どもから大人まで、陸上をやりたいと思う人が自発性を持ってトレーニングしている。楽しみを追究するだけでなく、練習前後には必ずミーティングをして厳しいことを言ったりもする。トレーニングを積んで、小学生や大人はSCCとして、中学、高校、大学生はそれぞれの学校の陸上部員として、いろんな大会に出場している。

 またSCCでは、いろんなイベントも実施している。昨年11月に福祉のNPOと協同でレクリエーション大会を企画した。独自のイベントとして今年4月に50メートルダッシュ王選手権をやった。子どもから年配まで年齢や性別も関係なく、だれが1番速いのかを競った。8月には夏休み小中学生かけっこ教室を開いた。かけっこでびりだった子が、ひとつでも順位を上げるにはどうすればいいかの教室だった。10月からは「いぶすき菜の花マラソン挑戦講座」を開き、まったく素人の人でもフルマラソンを完走するためのトレーニングを行っている。

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 陸上以外でも、大会が終った後に、みんなでお花見をしたこともある。冬は練習後にみんなで豚汁を食べた。SCCが大切にしているのはこういうスポーツクラブライフだ。

 「スポーツとは何か?」とはよく聞くが「スポーツライフとは?」という問いかけはあまりなされないのではないか? スポーツの話をすると「昔○○をやっていた」という話が大半。スポーツを通した人生というものを真剣に考えるべきだ。

 スポーツ振興基本法でも、これからはスポーツは地域に密着して発展していくとうたわれている。我々はもう一歩進めて「人生密着型スポーツ」を目指している。人生を通した豊かなスポーツライフをSCCで提供していきたい。

 先日のSCC忘年会には、子どもから大人まで約100人が集った。ここに集った人は、スポーツをしている子どもとその親という関係ではない。みんなが、SCCというチームの一員だ。僕はこのSCCをひとつの「ビッグファミリー」のようなクラブに育てていきたいと考えている。 (編集:鹿児島新報 政純一郎氏)

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