鹿児島県NPO事業推進連絡会 鹿児島市大会


「ヴォルカ鹿児島の目指す方向」

          太田隆一 (ヴォルカ鹿児島ゼネラルマネージャー)

 ヴォルカ鹿児島の母体は、1959年に誕生した鹿児島サッカー教員団で、95年に現在の名称に変更した。名前の由来は仏語で火山を意味する「ヴォルカン」の造語で、「鹿児島にもJのチームを」とのスローガンのもとに結成された。 昇格するにふさわしいチーム作りと選手育成を行い、身の丈に合った運営と強化を図っている。県民、特に子どもたちの夢になるチームを目指せば、将来のJ昇格が見えてくるのではないかと考えている。

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 Jリーグに昇格するためには、都道府県リーグ、地域リーグ、JFLを経て、J2、J1に進む。それぞれのリーグで上位に勝ち残って、入れ替え戦を戦い上を目指す。今季は、九州リーグで沖縄かりゆしに次いで2位になり、初めて全国地域リーグの決勝大会に進んだ。1次ラウンド全勝で決勝ラウンド進出を決めたが、決勝ラウンドは3戦全敗で、JFL昇格への入れ替え戦には進めなかった。悲願のJFL昇格は果たせなかったが、今季の戦いぶりは、選手が今置かれた環境の中で、わたしはよくやってくれたと評価している。

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 現在、ヴォルカの選手たちは、リーグの試合も各自の車に相乗りして、試合前日の夜中か当日の朝に移動している。選手は、各自の職場にご理解を頂いて、試合にはそろうが、平日の練習などは選手がそろわないことが多い。専用の練習場を持っていないので、いろんなグラウンドを転々としている。試合は芝のグラウンドでできるが、練習はほとんど土の上というのが現状である。これからスキルアップするためには、環境整備が必要不可欠だ。

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 現在、わたしたちはヴォルカ鹿児島とは別に、スポーツNPO法人を立ち上げようと企画している。このNPOは、県民がスポーツにもっと親しんでもらえるようなスポーツイベントの企画などのスポーツ振興事業、スポーツを通じた青少年の育成事業、プロスポーツチームなどを支援するマネージメント事業の3つを大きな柱に掲げる。現在、監督やゼネラルマネージャーのわたしが担っているヴォルカのマネージメント業務を、このNPOに委託する。またヴォルカに限らず、地域を代表するチーム、個人をサポートし地域振興に貢献したいと考えている。

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 スポーツコミュニケーションを考えたときに、ワールドスポーツであるサッカーを使わない手はない。わたしはブラジル南部のクリシューマECというチームに所属していた。トップチームのリベルタドーレス杯の前座でわたしのデビュー戦があった。翌日町を歩いていると、見知らぬおばちゃんが「あんた、きのういいシュート打ったわね」と声を掛けてくれた。サッカーを通じて全く知らない人とコミュニケーションがとれている。これは素晴らしいことだと思った。

 このごろ子どもたちのサッカー指導をしていると、日本の子どもたちは自分を最初から出してオープンに表現できる子が少ないことを感じる。昔、子どもが外で遊んで自然と身に付いたはずのボディーバランスなどの身体能力や判断力、リーダーシップなどが見られない。そういう環境になっていることを危ぐしている。これから立ち上げるNPOで鬼ごっこのような遊びの中から身に付させたい。

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 日本もワールドカップがあったことで大きく変化した。居酒屋のおばちゃんがベッカムの話や日本代表の話をしてくる。初めて入ったガソリンスタンドで従業員が「ヴォルカですよね応援してます」と声をかけてくれる。日本でもひとつのスポーツを通じて、知らない人とコミュニケーションできるようになったと実感した。今後はこのヴォルカ鹿児島を、地域のトップチームとしての役割を果たし、県民の皆さんの応援を受けながら前に進んでいきたい。その結果としてJFL、Jリーグに昇格していければと考えている。 (編集:鹿児島新報 政純一郎氏)

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