鹿児島県NPO事業推進連絡会 鹿児島市大会


演題「女子バレーVリーグ選手から地域スポーツへ」

          山下浩美(元Vリーグ女子選手)

 わたしは5年間Vリーグでプレーしたあと、今鹿屋体大で社会人学生として勉強している。Vリーグでプレーしながら、競技をやめた後、どうしていけばいいかなどの葛藤があった。スポーツについて根本的に見直したくて、一から勉強するべく、大学に入学した。

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 わたしのバレーボールの原点は、枕崎でのスポーツ少年団にある。人口約2万6千人の小さな町だが、スポーツ活動が盛んで、市を挙げて様々なスポーツに取り組んでいる。地域の一体感がとても大きかった。所属していたチームは30、40人の団員に対して、5、6人の指導者がついているような恵まれた環境にあった。チーム同士の交流も盛んで、他のチームの指導者が指導してくれることもあった。そんな環境で中学までバレーをして、これからもずっと続けていきたいと思うようになった。

 Vリーグに進んでからは、埼玉に住んでいた。田舎育ちのためか、都会の人間関係の希薄さに悩んだことがあった。電車の中で貧血で倒れたのに、だれも助けてくれない。そういう人との関わりのなさが引っかかった。やめたあとは、鹿児島に帰ろうとそのときから考えていた。

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 現在、鹿屋市に「かのや健康・スポーツクラブ」という総合型地域スポーツクラブがある。18の競技があって、5つのスポーツ教室を開いている。わたしはこの中の、ジュニアバレーボール教室を受け持っている。毎週水曜日に、男子と女子のチームを指導している。わたし以外にも体大の学生の中の、自分の習ったことを還元したいという有志といっしょに運営している。

 教室ではウオーミングアップや、ストレッチングなどの基本的なことからスタートする。この教室に携わる前にも、個人で県内数カ所で教室を開いたことがあったが、ゲーム以前の基本的なことがなされていない子どもが多かった。この教室では、基本スキルやボールドリルなどを重点的にやっている。トレーニング方法も、遊びを取り入れながら楽しくできるプログラムをしている。

 力を入れているのは、子どもたちに意見を出させること。指導者からの一方通行ではなく、なぜ今そのプレーをしたのか発言させることで、考える機会を与えるようにしている。そうすることで、子どもたちが普通に自分の意見を言えるようになった。

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 スポーツ選手にとって一番大事なことは、自己管理能力である。スキルアップしてパフォーマンスを上げ結果を残すためにこの能力は不可欠。そのために体、食事、医療、心の4つの面で深い知識が必要となる。Vリーグの、特に女子選手の場合、高校から直接チームに入る選手がほとんどで、知識を十分に持っていないことが多い。自身の体験からも「もっと知っていればパフォーマンスを上げることができたのに」と思うことが、選手時代にあった。今こうして子どもに対する指導に関わっているのは、その年代に合わせた正しい知識を小さい頃から学べる環境を作っていきたいと考えたからだ。

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 鹿屋の総合型スポーツクラブのモデルは、欧州型のクラブといわれている。欧州型のクラブは、地域にトップチームがあって、各年代ごとに専門の指導者から指導を受けることができるシステムが確立されている。わたしも、子どもの頃から地域の中で育んでもらって選手になることができた。地域の中で選手や子どもを育てるスポーツ環境作りに、今後も積極的に携わっていきたい。

 地域の中のスポーツクラブがしっかりしてくると、トップ選手にあこがれて下の世代の子どもたちが育ってくる。スポーツに対する意識や価値観も変わってくると思う。日本はまだまだスポーツに対する価値観が低い。スポーツが生活にとって大事なものであることを伝えるのが自分の使命と考えている。 (編集:鹿児島新報 政純一郎氏)

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